「王子と乞食」
著者:マーク・トウェイン 大久保博=訳
たまには童話のような内容の本も良い。これはできるだけの詳細を入れた完全版のような本で、けっこう分厚い。イラストも原作のもので、子供は手を出しそうにない。あとがきでイラストがどうやって誰が描いたのか、も書かれていて、大人が読むのに良い本だと思う。
そっくりな王子と乞食が入れ替わる
私も王子と乞食が入れ替わる話しだとは知っていたが、結末ははっきりとは知らなかった。そういう人は多いのではないだろうか。
どうやって王子と乞食が元の場所へ戻っていくのか、それとも入れ替わったままになってしまうのか。
いくらそっくりでも、お風呂に入らず良いものを食べず暮らしてきた乞食と、
毎日綺麗にしてもらって、栄養のあるものを食べていた王子を、服を交換しただけじゃ間違えないだろ!
と思ってしまう大人な考えは置いといて。
もし入れ替わったら、こんな風に周りは受け止めてしまうんだろうか、と楽しく読めた。
世界観、価値観が今と違う
王子のナプキン係がいたり、他様々な王子を手伝う人々。王様の悪口なんて言うことも許されない王様絶対の時代。そんな時代が本当にあったんだな…と想像しながら読む。
日本も戦争時代も、「お国のために」という感じだったというし、人間の価値観って少しずつ変わってくるから不思議だ。
火あぶりや、様々な罰や飢え。現代から考えると信じられないような世界だ。
フィクションではあるものの、王子エドワードは実在するらしい。
貧困と暴力の中で生きる乞食、トムと、溢れる財力と賛辞の中で生きる王子エドワード。
対象的な二人が、それぞれの世界を目の当たりにして変化していく姿はとても読み応えがある!
人の立場を考え、慈しむ心が大切
王子の立場と、乞食の立場。それぞれが体験することで二人は成長していく。
知らなかった世界を体験したことで、特に王子は得たものが大きかったのではないだろうか。それがどうラストに繋がっていくのか、読んだことない方には読んで欲しい。
子供にも読んで欲しい本。子供用に読みやすくされたものも発行されている。しかしできるだけ理解するには、長編だよね!本の魅力って、詳細まで描かれいることで、より理解できる部分にあると思う!
空想ものも好きだし、たまには良いジャンルだった。